『早期大腸癌』からの20年、『INTESTINE』からの今後20年
[腫瘍分野]大腸T1(SM)癌に対する取り扱いの時代的変遷
田中 信治
1
,
朝山 直樹
,
住元 旭
,
平野 大樹
,
田丸 弓弦
,
二宮 悠樹
,
鴫田 賢次郎
,
林 奈那
,
岡 志郎
,
茶山 一彰
1広島大学病院 内視鏡診療科
キーワード:
大腸内視鏡法
,
腫瘍進行度
,
大腸腫瘍
,
腸粘膜
,
診療ガイドライン
,
近代医学史
Keyword:
Colonoscopy
,
Intestinal Mucosa
,
Neoplasm Staging
,
Colorectal Neoplasms
,
Practice Guidelines as Topic
,
History, Modern 1601-
pp.57-62
発行日 2016年1月20日
Published Date 2016/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/J05332.2016150292
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1980~1990年代は,内視鏡的摘除後大腸pT1(SM)癌のなかで微小浸潤(200~300μm)のうち脈管侵襲陰性の高・中分化腺癌のみが経過観察の対象であった.その後,症例の集積と詳細な検討結果に基づいて2005年に『大腸癌治療ガイドライン』が発刊され,「大腸T1癌が内視鏡的に組織学的完全一括摘除された場合,(1)SM浸潤度1,000μm以上,(2)脈管侵襲陽性,(3)低分化腺癌,未分化癌のすべてを認めなければ経過観察可能」と記載された.さらに,簇出の意義が明らかになり,『大腸癌治療ガイドライン2009/2010年版』には,「大腸T1癌が内視鏡的に組織学的完全一括摘除された場合,(1)SM浸潤度1,000μm以上,(2)脈管侵襲陽性,(3)低分化腺癌,印環細胞癌,粘液癌,(4)浸潤先進部の簇出(budding) Grade 2/3のすべてを認めなければ経過観察可能」と改訂され,同2014年版でも同様の記述がなされている.
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