『早期大腸癌』からの20年、『INTESTINE』からの今後20年
[病理分野]大腸癌の病理診断の歴史と将来 とくに早期大腸癌について
太田 敦子
1
,
岩下 明徳
,
池田 圭祐
,
田辺 寛
1福岡大学医学部附属筑紫病院 病理部
キーワード:
大腸ポリープ
,
鑑別診断
,
腺腫
,
大腸腫瘍
,
腸粘膜
,
近代医学史
,
腫瘍の早期診断
,
癌取扱い規約
Keyword:
Adenoma
,
Colonic Polyps
,
Diagnosis, Differential
,
Intestinal Mucosa
,
Colorectal Neoplasms
,
History, Modern 1601-
,
Early Detection of Cancer
pp.97-102
発行日 2016年1月20日
Published Date 2016/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/J05332.2016150298
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わが国の大腸癌の病理診断は,大腸内視鏡検査による生検診断,ポリペクトミーや内視鏡的粘膜切除術(EMR)などによるポリープ切除標本の診断,近年は内視鏡的粘膜下層?離術(ESD)による早期大腸癌の診断など,臨床の先生方の診断学,治療学の急速な発展に牽引されるようなかたちでともに進んできた.大腸癌の発生について,adenoma-carcinoma sequence説と"de novo"carcinoma説が以前より議論となっていた.adenoma-carcinoma sequence説が優勢となっていた当時に平坦・陥凹型早期大腸癌の発見でde novo癌の存在が注目され,その議論に一石を投じた.現在ではどちらの発癌経路も存在することが共通の認識となっている.約20年前に取り上げられた,大腸上皮性腫瘍の診断における病理医間の診断の差とその要因,また浸潤像がなければ癌と診断しない欧米の病理医との診断基準の相違とそれをふまえたコンセンサス分類の作成についても概説した.
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