臨床に必要な消化管による食欲調節の知識
食欲調節と消化管ホルモン 消化管ホルモンによる食欲抑制 コレシストキニンの作用と役割
山口 菜緒美
1
,
細見 英里子
,
林 健次郎
,
屋嘉比 康治
1埼玉医科大学総合医療センター 消化器・肝臓内科
キーワード:
Cholecystokinin
,
Serotonin
,
胃内容排出
,
視床下部背内側核
,
視床下部室傍核
,
消化管ホルモン
,
食品中の脂肪
,
食欲調節
,
腸
,
肥満
,
Non-Ulcer Dyspepsia
,
満腹
Keyword:
Appetite Regulation
,
Cholecystokinin
,
Dorsomedial Hypothalamic Nucleus
,
Dietary Fats
,
Gastrointestinal Hormones
,
Intestines
,
Gastric Emptying
,
Paraventricular Hypothalamic Nucleus
,
Obesity
,
Serotonin
pp.1223-1232
発行日 2016年7月20日
Published Date 2016/7/20
DOI https://doi.org/10.19020/J01937.2016392514
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近年,消化管ホルモンが消化・吸収促進作用以外に,脳内の食欲中枢に働きかけて空腹感や満腹感を形成し,食行動の促進や抑制,開始や停止を調節していることが明らかになってきた.そのなかでコレシストキニン(CCK)は,その食欲抑制作用が明らかにされた最初の消化管ホルモンである.CCKはおもに脂肪やタンパク質などを食べることによって小腸から分泌される.CCKは食事開始から10~20分ほどで血中濃度が上昇し脳-腸軸と称される調節機序を介して脳内満腹中枢を興奮させ満腹感を形成し,適当な摂取カロリーや食事時間内に食行動を終了させる役割があると思われる.本稿では,その脳腸相関を介する調節機序と肥満や機能性消化管障害の病態における役割について概説する.
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