臨床に必要な消化管による食欲調節の知識
肥満と消化管 アシルグレリンの食欲調整
安宅 弘司
1
,
浅川 明弘
,
乾 明夫
1鹿児島大学 医歯学総合研究科健康科学専攻社会・行動医学講座心身内科学分野
キーワード:
アシル化
,
自己抗体
,
視床下部
,
食欲調節
,
神経性やせ症
,
妊娠合併症
,
肥満
,
Leptin
,
Orexins
,
Melanocortin Receptor 4
,
Ghrelin
,
肥満手術
,
神経性過食症
Keyword:
Orexins
,
Acylation
,
Anorexia Nervosa
,
Appetite Regulation
,
Autoantibodies
,
Hypothalamus
,
Obesity
,
Pregnancy Complications
,
Leptin
,
Receptor, Melanocortin, Type 4
,
Bulimia Nervosa
,
Bariatric Surgery
,
Ghrelin
pp.1213-1222
発行日 2016年7月20日
Published Date 2016/7/20
DOI https://doi.org/10.19020/J01937.2016392513
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おもに胃で産生されるグレリンは28アミノ酸残基のペプチドであり,空腹信号を胃から脳へ伝達する(脳腸相関).グレリンはグレリン脂肪酸転移酵素(ghrelin O-acyltransferase;GOAT)によりセリンにオクタノイル基(C8:0)が付加されてアシルグレリンとなり食欲亢進活性を示す.アシルグレリンは空腹状態で胃から分泌され,脳内のグレリン受容体(GHS-R1a)に結合し摂食を亢進する.アシルグレリンは恒常性維持のための摂食と快楽的な摂食の両方に関与している.食事誘発性の肥満においては,アシルグレリンレベルは正常なBMI値の人に比べて低く,脳内でグレリン受容体の減少によりアシルグレリンシグナルが低下する.神経性食思不振症の患者では健常人に比べてアシルグレリンレベルは高い.この章では,アシルグレリンの食欲に対する機能や作用機構と肥満や神経性食思不振症でのグレリンシステムの破綻について概説する.
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