消化器内視鏡診療における適切な鎮静法-新ガイドラインの正しい理解・運用のために
鎮静に関連する訴訟の現状とガイドラインの運用について
日山 亨
1
,
田中 信治
,
吉原 正治
1広島大学保健管理センター
キーワード:
催眠剤と鎮静剤
,
消化器系内視鏡法
,
保健医療水準
,
診療ガイドライン
,
医事紛争
,
呼吸抑制
Keyword:
Hypnotics and Sedatives
,
Quality of Health Care
,
Endoscopy, Digestive System
,
Practice Guidelines as Topic
pp.595-599
発行日 2015年4月20日
Published Date 2015/4/20
DOI https://doi.org/10.19020/J01937.2015211351
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本稿では,鎮静におけるリスクマネジメントを考えるために,まずは,わが国の医療訴訟の動向ならびに鎮静が関係した訴訟事例を紹介した.その後,ガイドラインの運用について検討した.わが国の医療事故訴訟件数は平成16年をピークに減少し,現在,年間800件程度で推移している.判例データベース上,鎮静が関係した民事訴訟事例は7事例あった.7事例すべて病院側が敗訴となっており,鎮静中の監視が不十分だったといったものが多かった.厚生労働省や専門学会の診療ガイドラインは各種文献のなかでももっとも重視される証拠であり,行われた医療行為が適切だったか否かを決める医療水準の判断の基礎となるものであると考えられる.消化器内視鏡診療を行うすべての医療機関において,日本消化器内視鏡学会から公表されたガイドラインを踏まえたうえで内視鏡鎮静を行うことが望まれている.
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