発行日 2017年2月10日
Published Date 2017/2/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2017163965
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例は66歳男性で、高血圧性腎硬化症を原疾患とする末期腎不全のため、6年前に腹膜透析を開始した。2ヵ月前に腹膜透析用カテーテルトンネル感染を契機として血液透析に移行し、1ヵ月前から外来維待透析を継続した。突然、左腰背部の激痛が出現し、冷汗・嘔吐も出現した。心電図で心房細動を認め、速やかにニカルジピン持続静脈注射による降圧と、ペンタゾシン筋肉注射による鎮痛をはかった。胸腹部造影CTを撮影し、活動性の左腎動脈出血と診断した。血腫は破綻した腎被膜からretromesenteric plane、さらには前腎傍腔まで及んでいた。発作性心房細動のためワルファリンを内服し、PT-INRが過延長していたため、ビタミンK静脈注射による中和を行った。腎動脈造影で、下極側の複数の分枝にextravasationを認め、N-ブチル-2-シアノアクリレート・ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステル混和液による動脈塞栓術を行った。2ヵ月後のCTで血腫は概ね消退し、腫瘍病変は認めなかった。
Copyright © 2017, Nihon Medical Center, Inc. All rights reserved.