発行日 2017年1月10日
Published Date 2017/1/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2017161115
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70歳代男。30歳代から高血圧、50歳代から糖尿病に対して近医で内服治療を受けており、3年前より徐々に腎機能の悪化を認めるようになった。外来にて保存的治療を継続するも腎機能は悪化し、4ヵ月前から下腿浮腫、労作時の呼吸困難が出現し入院となった。減塩を中心とする食事療法と利尿薬投与によりうっ血性心不全の改善をはかった後、左前腕内シャント造設術を施行した。術後シャント音やthrillはともに良好で、心不全徴候の出現や疼痛・痺れ等の術後合併症は認めなかった。しかし、術後2日目の頸動脈超音波検査で左椎骨動脈への高度な逆流を認めた。頸部CT血管造影検査では、左鎖骨下動脈の起始部から左橈骨動脈起始部まで石灰化を伴う高度な狭窄を認めた。以上より、無症候性の左鎖骨下動脈盗血症候群と診断した。今後、内シャントの発達に伴い左上腕への血流増加による脳虚血症状出現が危倶されたため、左鎖骨下動脈へステントグラフ卜留置術を施行した。手術翌日の頸部超音波検査で左椎骨動脈の順行性のフローを確認し、術後4日目に内シャントを穿刺し、合併症なく退院となった。以降は他院で維持血液透析中であるが、問題なく経過している。
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