骨関節障害・CKD-MBDの概念を再考する
CKD-MBD 新たなマーカー(FGF23、Klotho)はどう診療に使われていくのか
菅野 靖司
1
,
角田 隆俊
1東海大学医学部付属八王子病院 腎内分泌代謝内科
キーワード:
生物学的マーカー
,
骨疾患-代謝性
,
腎臓移植
,
基準値
,
低リン酸血症
,
高リン酸血症
,
慢性腎臓病
,
Klotho Protein
,
線維芽細胞増殖因子-23
Keyword:
Bone Diseases, Metabolic
,
Reference Values
,
Biomarkers
,
Kidney Transplantation
,
Hypophosphatemia
,
Renal Insufficiency, Chronic
,
Hyperphosphatemia
,
Klotho Protein
,
Fibroblast Growth Factor 23
pp.613-622
発行日 2015年6月10日
Published Date 2015/6/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2015272536
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FGF23(fibroblast growth factor-23)とKlothoが同定され,リン(P)代謝および慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常(CKD-MBD)発症の機序を考えるうえで,重要な役割を演じていることが近年の研究でわかってきた.FGF23の作用機序は,(1)近位尿細管でP再吸収を低下させる,(2)ビタミンD産生を抑制,(3)副甲状腺では副甲状腺ホルモン(PTH)の合成・分泌を抑制,これらにより血清Pを低下させる.Klothoは腎臓,副甲状腺,下垂体などの組織に発現しており,FGF23のFGF recepter(FGFR)と複合体を形成しFGF23の作用を発揮するために必須の因子である.FGF23は血清PやPTHの上昇がみられていない早期CKDステージより上昇がみられ,CKD-MBDの早期バイオマーカーとして期待されている.またP吸着薬の使用によりFGF23を低下させる報告があり,生命予後改善への寄与に期待されている.FGF23が高いにもかかわらずPの排泄率が低い患者の予後は悪いという報告があり,FGF23抵抗性が生命予後を予知するマーカーとなる可能性があり,これにはKlotho発現の低下が関与している可能性がある.
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