特集 炎症性腸疾患の分子標的治療を総括する
Ⅳ.接着分子阻害薬─ ベドリズマブの特性を生かしたIBD 治療
櫻庭 裕丈
1
,
平賀 寛人
1
,
蓮井 桂介
1
,
菊池 英純
1
,
村井 康久
1
,
川口 章吾
2
,
樋口 直樹
1
,
明本 由衣
3
,
福田 眞作
1,4
1弘前大学大学院医学研究科消化器血液内科学講座
2弘前大学大学院医学研究科脳血管病態学講座
3弘前大学医学部附属病院病理部
4弘前大学
キーワード:
ベドリズマブ
,
MAdCAM-1
,
抗TNF-α抗体との比較
,
治療反応予測因子
,
腸管外病変
Keyword:
ベドリズマブ
,
MAdCAM-1
,
抗TNF-α抗体との比較
,
治療反応予測因子
,
腸管外病変
pp.267-274
発行日 2021年9月20日
Published Date 2021/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000615
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ベドリズマブ(VDZ)は,α4β7インテグリンに対する抗体で,腸管嗜好性リンパ球が小腸・大腸の血管内皮細胞に発現するMAdCAM-1に接着し腸管粘膜に浸潤することを抑制する.これまでのサイトカインを標的とした分子標的治療とは異なり,腸管選択的な作用をもつ薬剤であることから,重症感染症が少ないことや悪性腫瘍の発生率を高めない安全性が注目されている.これまでの多くの臨床試験からは,その有効性も高く,薬剤の特性を最大限生かすことが求められる.バイオナイーブ,適正な重症度で高い有効性があり,一方で罹病期間や免疫調節薬の併用の有無には影響されない.クローン病の肛門病変,腸管外合併症に対する効果も注目されており,より有効性の高い症例を選択できれば長期の寛解維持へ貢献できる薬剤である.
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