特集 早期大腸癌内視鏡治療後の転移再発と予後
Ⅱ.早期大腸癌内視鏡治療後の転移再発と予後の実態(6)内視鏡治療後経過観察し再発した大腸T1(SM)癌の転帰・予後
斉藤 裕輔
2,3
,
岡 志郎
1
,
田中 信治
1
,
斎藤 豊
1
,
池松 弘朗
1
,
五十嵐 正広
1
,
和田 祥城
1
,
工藤 進英
1
,
小林 清典
1
,
井上 雄志
1
,
浦岡 俊夫
1
,
飯石 浩康
1
,
山野 泰穂
1
,
鶴田 修
1
,
永田 信二
1
,
蔵原 晃一
1
,
山口 裕一郎
1
,
佐野 寧
1
,
樫田 博史
1
,
堀松 高博
1
,
斎藤 彰一
1
,
上野 秀樹
1
,
石黒 めぐみ
1
,
石川 秀樹
1
,
味岡 洋一
1
,
大倉 康男
1
,
藤盛 孝博
1
,
渡邉 聡明
1
,
杉原 健一
1
1大腸癌研究会「内視鏡摘除後大腸T1(SM)癌の転移・再発に関する多施設共同研究」プロジェクト研究班
2大腸癌研究会「内視鏡摘除後大腸T1(SM)癌の転移・再発に関する多施設共同研究」プロジェクト研究班代表
3市立旭川病院消化器病センター
キーワード:
大腸T1(SM)癌
,
内視鏡摘除
,
追加外科手術
,
再発病変
,
salvage治療
Keyword:
大腸T1(SM)癌
,
内視鏡摘除
,
追加外科手術
,
再発病変
,
salvage治療
pp.239-244
発行日 2019年5月20日
Published Date 2019/5/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000338
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「大腸癌治療ガイドライン」における大腸T1(SM)癌内視鏡摘除後の追加腸切除が現実的にはoversurgery となっているという問題点がある.その理由として,経過をみて再発をきたした際のsalvage 治療による予後の改善効果が不明のためである.われわれは大腸T1 癌に対して内視鏡摘除単独あるいは内視鏡摘除+追加手術を行い,経過観察中に転移・再発した症例の臨床経過と生命予後を明らかにすることを目的として後向きアンケート調査を行った.結果:48 施設から回答をいただき,① 2001 年から2008 年の間の再発は101 例であった.再発形式はリンパ節再発21 例,遠隔転移再発45 例,粘膜下層以深の局所再発35 例であった.② 経過観察例90 例中,原病死は54 例(60%)であり,再発例における50%生存期間は39 カ月とその予後は不良であった.③ リンパ節再発,遠隔転移再発,粘膜下層以深の局所再発,いずれの再発形式においても,予後は不良であった.④ 再発後の平均生存期間は手術施行例で,非施行例に比較して有意に長かった.結論:大腸T1 癌の再発例において,salvage 手術は一定の予後改善効果を認めるものの,全体としては,再発形式にかかわらず予後は不良であるため,内視鏡摘除後大腸T1(SM)癌でリンパ節転移リスクを有する例における経過観察の決定は慎重に行うべきである.
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