TOPICS ─文献紹介〈炎症関連〉
Chronic enteropathy associated with SLCO2A1 gene[ CEAS]─ クローン病と鑑別すべき腸管粘膜障害の特徴〔Review from ─ J Crohns Colitis 2017;11:1277-1281〕
細江 直樹
1
,
緒方 晴彦
1
,
金井 隆典
2
1慶應義塾大学医学部内視鏡センター
2慶應義塾大学医学部消化器内科
キーワード:
小腸
,
カプセル内視鏡
,
バルーン小腸内視鏡
,
クローン病
,
非特異性多発性小腸潰瘍症
Keyword:
小腸
,
カプセル内視鏡
,
バルーン小腸内視鏡
,
クローン病
,
非特異性多発性小腸潰瘍症
pp.505-507
発行日 2018年9月20日
Published Date 2018/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000246
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非特異性多発性小腸潰瘍症は,1960 年代に本邦で提唱された疾患であり,女性に好発し,多くは幼・若年期に発症し,貧血,低蛋白血症など特徴的な臨床症状を有する.本症が常染色体劣性遺伝の形式をとる疾患であることがわかり,その後の遺伝子解析の結果,原因遺伝子として,プロスタグランジンの細胞内トランスポーターを規定するSLCO2A1 が明らかとなった.一方,SLCO2A1はばち状指,長管骨の骨膜性肥厚,脳回転状頭皮を含む皮膚肥厚症を3 主徴とする肥厚性皮膚骨膜症の原因遺伝子としても注目されており,実際に,腸管外病変として肥厚性皮膚骨膜症の症状を合併する非特異性多発性小腸潰瘍症患者も存在する.これらの結果から,細胞内プロスタグランジンの利用障害が本症の主たる病態であることが判明し,本症の英語疾患名がchronic enteropathy asassociatedwith SLCO2A1(CEAS)という新名称に変更された.
われわれは,「難治性小腸潰瘍の診断法確立と病態解明に基づいた治療法探索」班〔日本医療研究開発機構委託研究開発費(難治性疾患実用化研究事業),松本主之班長〕のもと,① 消化器専門医における本症の認知度を向上させ,② 他疾患との内視鏡所見の相違を明らかにし,③ さらなる症例を集積することを目的に,CEAS 画像診断アトラスを作成し,2016 年3 月に刊行した.本論文は,この画像診断アトラスの一部を英文化したものである.
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