TOPICS ─文献紹介〈炎症関連*〉
長期炎症による大腸上皮培養細胞形質変化〔Review from ─ J Crohns Colitis 2017;11:621-630〕
日比谷 秀爾
1
,
土屋 輝一郎
1
,
渡辺 守
1
1東京医科歯科大学消化器内科
キーワード:
潰瘍性大腸炎
,
炎症性発癌
,
オルガノイド培養
Keyword:
潰瘍性大腸炎
,
炎症性発癌
,
オルガノイド培養
pp.91-94
発行日 2018年1月20日
Published Date 2018/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000155
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潰瘍性大腸炎の患者は罹患期間に応じて炎症性発癌の罹患率が高くなることが報告されている1).炎症性発癌は悪性度が高く予後不良であり,通常の大腸癌とは性質が異なる癌と考えられている.大腸癌細胞株を用いた解析では,炎症によるNF-κB シグナルの活性化により粘液癌・印環細胞癌に似た粘液形質・癌幹細胞形質を発現し,抗癌剤耐性をもたらすことが報告されている2).炎症性発癌のin vivo 実験動物モデルを用いた解析により,NF-κB やサイトカインによるシグナルの関与が報告されているものの,正常大腸上皮から炎症性発癌に至るメカニズムは未解明である.とくに,長期炎症刺激における腸管上皮細胞の経時的な形質転換に関してはその分子機構も含めてまったく不明である.
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