特集 小腸の炎症性病変を見直す
Ⅱ.各論 ( 4 )Chronic enteropathy associated with SLCO2A1 gene(CEAS,非特異性多発性小腸潰瘍症)の病態と特徴
梅野 淳嗣
1
,
江﨑 幹宏
1
,
平野 敦士
1
,
安川 重義
2
,
平井 郁仁
2
,
松井 敏幸
2
,
八尾 恒良
3
,
松本 主之
4
1九州大学大学院病態機能内科学
2福岡大学筑紫病院消化器内科
3佐田病院
4岩手医科大学医学部内科学講座消化器内科消化管分野
キーワード:
非特異性多発性小腸潰瘍症
,
SLCO2A1遺伝子
,
プロスタグランジン輸送体
,
肥厚性皮膚骨膜症
,
慢性出血性小腸潰瘍症
Keyword:
非特異性多発性小腸潰瘍症
,
SLCO2A1遺伝子
,
プロスタグランジン輸送体
,
肥厚性皮膚骨膜症
,
慢性出血性小腸潰瘍症
pp.518-525
発行日 2017年11月20日
Published Date 2017/11/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000115
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
遺伝学的に確定診断された非特異性多発性小腸潰瘍症45 例の臨床像を検討した.本症は女性に多いこと,貧血は必発するが肉眼的血便はほぼみられないこと,炎症所見は比較的低値にとどまること,約30%に血族結婚を認めることが確認された.終末回腸を除く回腸を中心に病変は分布していたが,約半数に十二指腸病変を認めた.また約30%に肥厚性皮膚骨膜症の臨床徴候がみられた.性別による比較では,胃病変は女性に有意に多く,ばち指,骨膜症や皮膚肥厚といった肥厚性皮膚骨膜症の所見は男性に有意に多かった.本症の診断に際しては,小腸病変の評価に加えて上部消化管病変や消化管外徴候の評価,SLCO2A1 遺伝子変異の検索も重要と考えられた.
Copyright © 2017, Nihon Medical Center, Inc. All rights reserved.