特集 大腸腫瘍の分子生物学
Ⅳ.大腸腫瘍の分子異常と病理診断
菅井 有
1
,
永塚 真
1
1岩手医科大学医学部病理診断学講座
キーワード:
adenoma-carcinoma sequence
,
大腸腫瘍
,
網羅的分子解析
,
common molecular subtype
,
鋸歯状経路
Keyword:
adenoma-carcinoma sequence
,
大腸腫瘍
,
網羅的分子解析
,
common molecular subtype
,
鋸歯状経路
pp.429-435
発行日 2018年9月20日
Published Date 2018/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000235
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大腸癌の分子異常は類型的にmicrosatellite stable(MSS)とmicrosatelliteinstability(MSI;MIN)に大別される.MSS はコピー数異常,loss ofheterozygosity,TP53 変異などによって特徴づけられるが,MSI はマイクロサテライト領域の異常,BRAF 変異,ゲノムワイドのメチル化異常などと密接に関連している.MSS とMSI は排他的な関係にある.一方,前駆病変からの腫瘍発生仮説は,① adenoma-carcinoma sequence,② 鋸歯状経路,③ denovo 型経路に分類される.①と③はMSS 型癌に,②はMSI 型癌に進展する.ゲノムの網羅的解析として,The Cancer Genome Atlas が有名であるが,一方で新しい分子病型仮説も最近提案されている.病理学的観点からは病理組織像との関連性を検討することが重要と思われる.
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