特集 大腸腫瘍の分子生物学
Ⅴ.癌の浸潤転移と分子生物学
神藤 英二
1
,
深澤 智美
1
,
梶原 由規
1
,
望月 早月
1
,
岡本 耕一
1
,
山寺 勝人
1
,
津田 均
2
,
上野 秀樹
1
1防衛医科大学校外科学講座
2防衛医科大学校病態病理学講座
キーワード:
簇出
,
上皮間葉転換
,
組織マイクロアレイ
,
E-カドヘリン
,
β-カテニン
Keyword:
簇出
,
上皮間葉転換
,
組織マイクロアレイ
,
E-カドヘリン
,
β-カテニン
pp.437-442
発行日 2018年9月20日
Published Date 2018/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000236
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大腸癌の先進部では,癌の浸潤性や転移能を規定するうえで鍵となる分子変化が起こり,高悪性度の癌では上皮間葉転換(EMT)に関連した形態学的,分子生物学的な変化を高頻度に認める.これらのEMT マーカーは強力な予後因子となることが知られており,pT3 大腸癌を対象とした教室の検討でも,簇出Grade(G)3 群(5 年生存率59.8%)はG1,2 群(87.7%)と比べ予後不良で(P<0.0001),cytoplasmic podia も高度群(60.5%)と軽度群(83.8%)の間に差を認めた(P=0.003).組織マイクロアレイを利用した検討では,先進部におけるカドヘリン発現低下(HR:2.6,P=0.0082)が独立した再発因子であることが示されている.これらのEMT マーカーは癌の転移能と強く相関すると解釈でき,癌の悪性度を推し量るうえで臨床的に利用価値が高い.
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