Japanese
English
今月の主題 大腸癌の発生・発育進展
序説
大腸癌の発生・発育進展―歴史的流れと現状の問題点
Introduction
鶴田 修
1
Osamu Tsuruta
1
1久留米大学医学部消化器病センター内視鏡診療部門
キーワード:
colorectal cancer
,
adenoma-carcinoma sequence
,
de novo carcinoma serrated polyp neoplasia pathway
,
colitic cancer
Keyword:
colorectal cancer
,
adenoma-carcinoma sequence
,
de novo carcinoma serrated polyp neoplasia pathway
,
colitic cancer
pp.1879-1883
発行日 2008年12月25日
Published Date 2008/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403101531
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はじめに
大腸癌は遺伝性の有無により,遺伝性大腸癌(家族性大腸腺腫症,遺伝性非ポリポーシス性大腸癌など)と遺伝性のない散発性大腸癌に分けることができるが,本号は後者についての特集であるため,以下は散発性大腸癌の発生・発育進展について述べる.
散発性大腸癌の組織発生には腺腫を前駆病変として発癌するadenoma-carcinoma sequence1)2)と腺腫を経ずに正常粘膜から直接発癌するde novo carcinoma3)4)があり,どちらが主経路かをめぐって多くの議論が交わされてきた.また,最近ではこれらのルート以外に過形成性ポリープ(hyperplastic polyp ; HP),鋸歯状腺腫(serrated adenoma ; SA)などの鋸歯状構造を有するポリープ(serrated polyp)を前駆病変として発癌するserrated polyp neoplasia pathway5)の存在が注目されている.さらには,炎症性腸疾患,特に潰瘍性大腸炎を背景とした大腸癌(colorectal carcinoma associated with ulcerative colitis, colitic cancer)ではdysplasiaと呼ばれる前癌病変から発癌するdysplasia-carcinoma sequence6)の概念が提唱されている.
本稿では,これらの大腸癌の発生・発育進展に関して歴史学的流れと現状の問題点について簡単に解説したい.
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