炎症性腸疾患診療のupdate
Ⅱ 炎症性腸疾患の病因・病態 ③炎症性腸疾患と腸内細菌
安藤 朗
1
1滋賀医科大学医学部消化器内科
キーワード:
炎症性腸疾患
,
酪酸
,
粘液
,
Th17 細胞
Keyword:
炎症性腸疾患
,
酪酸
,
粘液
,
Th17 細胞
pp.728-734
発行日 2019年5月25日
Published Date 2019/5/25
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000789
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潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis;UC)とクローン病(Crohn’s disease;CD)に代表される炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease;IBD)は,1980 年代から爆発的に増加し,現在わが国においてUC が180,000 人,CD が40,000 人を超え,両疾患で20 万人以上の患者が存在する.これまでの報告からIBDの病態形成には腸内細菌が重要な役割を果たしていることが明らかにされてきた. たとえば,さまざまな免疫関連遺伝子のノックアウトマウス(IL‒10 欠損マウス,IL‒2欠損マウスなど)やトランスジェニックマウス(HLA‒B27 トランスジェニックラット)に自然発症的にヒトIBD 類似の慢性腸炎が生じるが,これらのモデルの多くは無菌環境下では発症しない1).また,IBD の病変は腸内細菌の豊富に存在する回腸末端から大腸に好発する.これらの知見が腸内細菌叢に対する免疫応答の異常が慢性腸炎の発症において重要な役割を担っていると考えられる根拠となっている.
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