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特集 胆管狭窄に迫る―悪性との鑑別が問題となる良性胆管狭窄
序説・鑑別困難な良性胆管狭窄
Differentiation of benign and malignant biliary strictures
梛野 正人
1
Masato NAGINO
1
1名古屋大学大学院医学系研究科 機能構築医学専攻病態外科学腫瘍外科学
1Department of Surgical Oncology,Nagoya University Graduate School of Medicine,Nagoya
キーワード:
良性胆道狭窄
,
胆管癌
,
胆嚢癌
,
胆嚢炎
Keyword:
良性胆道狭窄
,
胆管癌
,
胆嚢癌
,
胆嚢炎
pp.283-286
発行日 2010年5月15日
Published Date 2010/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1428100260
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はじめに
画像診断の著しく進歩した今日においても,いまだ良悪の鑑別に苦慮する胆管狭窄は少なくない.胆管癌,あるいは胆嚢癌の胆管浸潤の診断で手術したにもかかわらず,術後の病理組織検査で「悪性所見を認めません」といったレポートが届いて,「エーッ,本当!」と驚く症例が年に1例程度はある.このことは,画像診断の限界を示唆すると同時に,術前生検診断の重要性を示すものである.
食道・胃・大腸といった消化管では,内視鏡による生検診断が容易に,必要があれば何度も繰り返して行えるので,組織学的に癌の確定診断がつく前に手術を施行することは極めて例外的である.一方,胆管では生検材料を得ることはもちろん可能ではあるが,少なくとも十分量の検体を繰り返し採取するのはなかなか難しい.生検で癌の所見が得られなかった場合,「癌ではないだろう」として経過観察するか? あるいは「癌を否定することはできない」として手術をするか? 難しい選択を迫られる状況が生まれる.以下,良悪の鑑別が難しい胆管狭窄について,外科医としての筆者の雑感を述べ,本特集の序としたい.
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