特集 自己免疫性肝疾患とICI(免疫チェックポイント阻害薬)による肝障害
2.ICIによる肝障害(1)疫学・臨床像
伊藤 隆徳
1
,
川嶋 啓揮
1
1名古屋大学医学部附属病院消化器内科
キーワード:
免疫チェックポイント阻害薬
,
肝障害
,
免疫関連有害事象
,
R値
Keyword:
免疫チェックポイント阻害薬
,
肝障害
,
免疫関連有害事象
,
R値
pp.1303-1310
発行日 2024年8月20日
Published Date 2024/8/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000003202
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免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による肝障害は,初回投与から2~3カ月の間に発症することが一般的であるが,個人差があり,ICI治療終了後も含めていつでも起こりうる.抗CTLA-4抗体薬を用いた併用療法では,PD-1/PD-L1単剤療法と比較して,肝障害の発症はより早く,また重症化する傾向にある.ICIによる肝障害のおもな病態は,CD8陽性細胞傷害性T細胞とマクロファージの肝内浸潤による炎症であるが,発症リスクファクターの詳細は解明されていない.ICIによる肝障害に特徴的な症状は存在せず,ICI使用中は定期的な肝胆道系酵素のモニタリングが重要である.適切な診断を行うためには,消化器内科と各専門医が密接に連携し,臨床症状,血液検査,画像検査,および肝生検を包括的に評価することが求められる.
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