特集 消化管出血のマネジメントが変わっている? ―最新情報と診療の実際
2.各論(3)消化管出血に対するIVRの適応と実際
佐藤 次郎
1
,
増沢 遥加
1
,
荒川 博明
1
,
桂 正樹
1
,
三瀬 葉子
1
1東京警察病院放射線科
キーワード:
IVR
,
消化管出血
,
動脈塞栓術
Keyword:
IVR
,
消化管出血
,
動脈塞栓術
pp.1389-1394
発行日 2023年9月20日
Published Date 2023/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002807
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
保存的加療や内視鏡的止血が奏功しない消化管出血に対してIVRは有力な低侵襲治療法である.造影CTは出血部位の同定や出血原因の推測に役立ち,血管解剖の把握にも有用であるため可能なかぎりIVR前に造影CTを行うことが望ましい.内視鏡検査はIVR施行前に必須ではないが,上部消化管出血においては出血原因の診断や止血のために施行されることが多い.凝固障害は塞栓術の成功率に悪影響を及ぼすため補正を心がける.また造影剤腎症の予防のためhydrationに留意する.消化管出血に対する塞栓術の技術的成功率は9割程度と報告されているが,IVR後の再出血はしばしば起こり複数回のIVRや時には手術が必要になる.上部消化管出血に対する塞栓術は安全性が高いとされているが,下部消化管,とくに大腸においては側副血行路が乏しいため塞栓術後の腸管虚血に注意する.
Copyright © 2023, Nihon Medical Centers, Inc. All rights reserved.