特集 膵癌の早期診断 ―診療ガイドラインの改訂を踏まえて
5.Stage 0,ⅠA膵癌の診断と治療(6)外科的治療を含めた集学的治療
大目 祐介
1
,
本田 五郎
1
,
川本 裕介
1
,
植村 修一郎
1
,
高山 敬子
2
,
菊山 正隆
2
1東京女子医科大学消化器・一般外科
2東京女子医科大学消化器内科
キーワード:
膵癌
,
上皮内癌
,
PanIN
,
膵頭十二指腸切除
,
膵体尾部切除
Keyword:
膵癌
,
上皮内癌
,
PanIN
,
膵頭十二指腸切除
,
膵体尾部切除
pp.195-204
発行日 2023年1月20日
Published Date 2023/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002514
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近年,膵癌の早期診断の進歩に伴いStage 0やStage ⅠAで発見される症例が増えつつあるが,両者の予後には大きな差があり,選択される治療法も同一ではない.膵上皮内腫瘍性病変(PanIN)のなかでも高度の異型を呈する病変(high-grade PanIN)がStage 0膵癌として扱われる代表的な病変である.PanINは腫瘤として直接的に認識できないため,その存在診断と局在診断が容易ではなく,二次性変化である間接的所見を糸口として診断される.そのうえで連続膵液細胞診(SPACE)を行って外科的切除を検討する.SPACEで腫瘍細胞が検出された場合,原則として画像上間接的所見を有する部分を可及的にすべて切除する.Stage ⅠA膵癌は遠隔転移をきたすリスクがあり,局所のみならず遠隔転移の制御が必要になる.術前化学療法としてGS(ゲムシタビン+S1)療法を施行した後に,根治手術を施行し,術後補助化学療法としてS1療法を施行している.今後,診断精度の向上が望まれるとともに,至適術式の検討が必要である.
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