Japanese
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特集 膵癌の早期発見・早期診断を目指して
[各論]
膵癌早期診断におけるERCPの役割:その歴史的変遷
The role of ERCP in the early diagnosis of pancreatic cancer: its historical transition
安田 一朗
1
,
畝 好弘
1
,
川中 滉貴
1
,
圓谷 俊貴
1
,
松野 潤
1
,
林 伸彦
1
Ichiro Yasuda
1
,
Yoshihiro Tanbo
1
,
Hiroki Kawanaka
1
,
Toshiki Entani
1
,
Jun Matsuno
1
,
Nobuhiko Hayashi
1
1富山大学学術研究部医学系内科学第三講座
キーワード:
ERCP
,
膵管造影
,
膵管像
,
MRCP
Keyword:
ERCP
,
膵管造影
,
膵管像
,
MRCP
pp.717-720
発行日 2024年5月25日
Published Date 2024/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000001438
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はじめに
膵管上皮から発生する膵癌の診断において膵管像を評価することは理に適っていることから,1960年代末に内視鏡を用いて膵管に直接造影カテーテルを挿管して造影を行うERCPが開発され1~3),その診断的有用性が高く評価された。その結果,1990年代頃まではERCPが膵癌診断のゴールド・スタンダードとして重要な役割を果たしてきた。また,この手技を応用した病理検体採取法として,経乳頭的生検や膵管ブラシ擦過細胞診,カテーテルによる吸引膵液細胞診,経鼻膵管ドレナージ(endoscopic nasopancreatic drainage:ENPD)留置による膵液細胞診などの手技も開発された。一方,1990年代に入ってMRI(MRCP)が登場し,侵襲や苦痛を伴うことなしにERCPに類似した膵管像が得られるようになり4),また,さらに画像精度の高いEUSの開発・普及や,低侵襲かつ簡便に膵の病理検体を採取できる方法としてのEUS-FNAの登場によってERCPの診断的位置づけは近年大きく変化した。
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