特集 膵癌の早期診断 ―診療ガイドラインの改訂を踏まえて
2.膵癌早期診断のために知っておきたい病理学的知見
大森 優子
1,2
,
古川 徹
1
1東北大学大学院医学系研究科病態病理学分野
2札幌東徳洲会病院医学研究所
キーワード:
膵上皮内癌
,
主膵管優勢型
,
膵野型
,
限局性膵萎
Keyword:
膵上皮内癌
,
主膵管優勢型
,
膵野型
,
限局性膵萎
pp.131-138
発行日 2023年1月20日
Published Date 2023/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002504
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本邦から発信されてきた積極的な画像スクリーニングにより,これまでは診断困難であった上皮内癌(CIS),小径の膵癌が発見される時代となった.膵CIS/高異型度pancreatic intraepithelial neoplasia (PanIN)の病理像は,腫大核を有する円柱状異型上皮が,核の極性の乱れと偽重層化を伴い,膵管内で低乳頭状構造を呈し増殖すると表現されるが,CISにも形態学的なバリエーションがある.その病理学的特徴を理解することは,細胞診診断の精度向上に直結する.さらに,その病理像は,発癌機序となる分子異常パターンや膵管内での分布にも関与している可能性がある.本稿では,膵CISと,画像スクリーニングでの発見契機となるCISにより引き起こされる主膵管狭窄や限局性膵萎縮の病理像を概説する.
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