特集 内視鏡検査で大腸癌の見落としゼロを目指して
1.大腸癌の見落としはいつ,どうして起こるのか(1)大腸癌はどれだけ見落とされているのか ―大腸がんスクリーニングの現状と最近のトピックス
松田 一夫
1
1福井県健康管理協会・県民健康センター
キーワード:
大腸がん検診
,
年齢調整死亡率
,
免疫便潜血検査
,
中間期癌
Keyword:
大腸がん検診
,
年齢調整死亡率
,
免疫便潜血検査
,
中間期癌
pp.609-614
発行日 2022年5月20日
Published Date 2022/5/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002203
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日本では1992年から免疫便潜血検査2日法を用いた大腸がん検診を開始した.年齢調整大腸癌死亡率は1996年頃から減少に転じたものの,他の先進諸国では日本以上に死亡率減少を達成している.便潜血検査の限界は,便潜血陰性者から自覚症状等を契機として発見される癌,すなわち中間期癌の存在である.1995~2002年に福井県内で実施された大腸がん検診では,検診後1年以内に判明した中間期癌(浸潤癌)を12%に認めた.しかしながら,中間期癌の予後は検診未受診群より良好であり,中間期癌をさほど不安視する必要はない.代わって日本における大腸がん検診の問題点は,精検受診率が低いこと,検診受診率も低いことである.精検受診率の向上が急務であり,内視鏡検診も見据えて誰もが大腸がん検診を受けられる体制づくりが必要である.
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