特集 慢性胃炎を再考する
巻頭言
春間 賢
1,2
1川崎医科大学総合医療センター総合内科2
2淳風会医療診療セクター
pp.1543-1544
発行日 2019年11月20日
Published Date 2019/11/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000982
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「胃炎」は古くから用いられている診断名であるが,もともとは剖検や外科的手術で摘出された胃の肉眼的,病理組織学的観察にその診断は始まる.最近注目されている,自己免疫性胃炎(A 型胃炎)も,以前はビタミンB12 欠乏による進行性貧血で死亡していたことから,高度の萎縮性胃炎として指摘されていた.その後,胃鏡検査が行われるようになると,生きた胃粘膜を直接観察できるようになり,胃炎の診断は大きく進歩した.さらに,吸引生検による生きた胃粘膜の組織学的観察,内視鏡下に目的部位の胃生検が可能となると,内視鏡所見と病理所見の対比が積極的に行われるようになった.胃炎の歴史において,Schindler の胃鏡分類,萎縮性胃炎の木村・竹本分類,さらに,updated Sydney 分類はきわめて重要である.「胃炎の京都分類」は,これまで日本で確立されてきた胃炎分類を継承し,Helicobacter pylori(H. pylori)感染診断を考慮した,現在の胃炎診断の実診療に則するように2014 年に作成された.
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