徹底分析シリーズ 患者安全 基本の「き」
巻頭言
髙田 真二
1
1帝京大学医学部 麻酔科学講座・医学教育センター
pp.325
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200170
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- 文献概要
今年もまた,新しい仲間を迎える季節がやってきました。麻酔科医の道を歩き始めた皆さんは,これから「プロの麻酔科医」を目指して日々研鑽を積まれることと思います。
「プロ」って何だろう?「麻酔科医」のアイデンティティとは?
今後の研修期間は,この問いに対する自分なりの答えを探求する時期でもあります。プロの実践能力とは,深い学識と高度な技術に,それらを正しく活用する“人格”が統合された総合的能力であり,医学教育学ではコンピテンスと呼ばれます。コンピテンスの習得過程はknows(知識の獲得)から始まり,knows how(問題解決能力),shows how(やってみせることができる)へと進み,does(実践する)に至ります。
本徹底分析は,どの施設の麻酔科専門医研修プログラムでも到達目標に掲げられている「安全な麻酔の実践」というコンピテンスの,knows howまでを扱います。安全な医療の実践に必要なknowsやknows howの内容は,実はそれほど難解なものではありません。各稿の内容は当たり前のことかもしれません。大切なのは,その当たり前のことを,指導医などによる監視がなくても「必要なことだから常に実践する(does)」という意思を維持することです。麻酔器の始業点検でも,使用薬物の取り扱いでも,診療録の記載でも,それは同じです。
「麻酔科医たる志を新しい仲間に伝えたい」という私たちの思いを汲み取っていただき,これからの麻酔科医人生の礎としてもらえれば,企画者としてこの上ない喜びです。
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