特集 どう生かす診療情報
巻頭言
大道 久
pp.901
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102020
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
医師も病院も,長い間,患者や住民に診療情報を発信することをしてこなかった.近年,医療を受ける側から説明が不十分であるという不満が声高に語られるなど,医療における情報提供は大きな論点となっている.医療を提供する側も,インフォームド・コンセントを励行して入院診療計画書を手渡すなどの情報提供に努め,最近は一定の定着をみているが,それでも医療の実情を国民に十分に理解してもらうには至っておらず,結果として昨今の容認しがたい医療費抑制を招いてしまったのではないかとの反省の声も聞かれる.
このような中で,改めて今後の病院が提供すべき情報について考えておく必要がある.特に,最近では患者・家族が診療そのものに関する情報を知りたいとする機運が強くなってきており,カルテ開示を求める動きはその端的な例である.厳しい環境下で患者の確保に迫られている病院にとって,患者の求める診療情報を知り,それらの情報の提供の現状と今後のあり方を探っておくことは,基本課題であろう.また,医療機関の広告規制も急速に緩和され,法制上の見直しとその運用も大きく変わったといえる.現在,広告は法制上どこまで可能となっているか,特に診療にかかわる情報の広告については踏まえておく必要がある.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.