膵癌update
Ⅰ 疫学・基礎 ④膵囊胞・IPMNと膵癌合併
多田 稔
1
1東京大学医学部消化器内科
キーワード:
IPMN 由来浸潤癌
,
通常型膵癌
,
経過観察
,
high risk stigmata
,
worrisome features
Keyword:
IPMN 由来浸潤癌
,
通常型膵癌
,
経過観察
,
high risk stigmata
,
worrisome features
pp.720-722
発行日 2018年5月25日
Published Date 2018/5/25
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000378
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わが国における膵癌患者の死亡者数は増加し続けており,年間3万人を超え日本の臓器別癌死亡数の第4位である.化学療法は進歩しているが,最近話題の分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の恩恵に乏しく,相変わらず消化器癌のうちの最難治癌である状況に変わりはない.さらに,危険因子が明らかでないため早期発見が難しく,進行癌に至るまでに診断されにくいこともその一因である.乏しい手がかりではあるが,最新版の膵癌ガイドラインに記載されているリスクファクターは,① 遺伝性膵炎やPeutz‒Jeghars症候群などの遺伝性疾患,② 家族性膵癌,③ 合併疾患として慢性膵炎,膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN),膵囊胞,糖尿病,肥満,④ 嗜好としての喫煙,大量飲酒,⑤ 職業として塩素化炭化水素曝露に関わる職業である.このうち,実際にある程度リスクが高くて対象が多い膵癌高危険群は,IPMN・膵囊胞であり,ガイドラインには“膵管内乳頭粘液性腫瘍と膵囊胞は膵癌の前癌病変として,慎重な経過観察を行うことを提案する”と記載されている.
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