特集 保存的腎臓療法(CKM)
11.透析見合わせにおける倫理・法的課題
山下 遥子
1
,
竹口 文博
1,2
,
中野 広文
3
,
菅野 義彦
1
1東京医科大学腎臓内科学分野
2第一東京弁護士会総合法律研究所医事法部会
3養生会かしま病院腎透析センター
キーワード:
透析の見合わせ
,
臨床倫理コンサルテーション
,
生命予後短縮
,
法的責任
Keyword:
透析の見合わせ
,
臨床倫理コンサルテーション
,
生命予後短縮
,
法的責任
pp.646-651
発行日 2023年6月10日
Published Date 2023/6/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000002583
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CKMの選択に当たり倫理的問題に直面した場合の検討の場として,臨床倫理コンサルテーションシステムを設ける医療機関が増加している.多職種からなるチームが客観的・多角的に現在の状況を検討し,臨床倫理の観点から,患者に最善と考えられる意思決定に至るプロセスについて援助を行うことで,担当医を含む医療チームの負担を緩和しうる.他方,わが国では治療不施行により死期が早まることについては法的免責要件の立法がなされておらず,臨床倫理コンサルテーションの法的効果は明確ではない.このため,CKMを選択して透析を見合わせて患者の生命予後が短縮した可能性がある場合,事実関係によっては法的責任を問われる可能性を完全には否定できない.現時点での,透析を見合わせCKMを検討する臨床医と臨床倫理コンサルテーションチームによる具体的な検討方法としては日本透析医学会の「透析の開始と継続に関する意思決定プロセスについての提言」に沿うことが最善と考えられる.
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