特集 CKD・透析患者の栄養指導方法と実践
1.腎疾患患者の栄養指導とは?(2)保存期・透析期CKD患者における食事・栄養療法の問題点
加藤 明彦
1
1浜松医科大学医学部附属病院血液浄化療法部
キーワード:
サルコペニア
,
食事摂取不足
,
カリウム摂取
,
食事パターン
,
植物性たんぱく質
Keyword:
サルコペニア
,
食事摂取不足
,
カリウム摂取
,
食事パターン
,
植物性たんぱく質
pp.1324-1333
発行日 2021年11月10日
Published Date 2021/11/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000001943
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現在,CKD患者の目標摂取量は腎機能に基づいて設定されている.しかし,CKD患者は高齢化によって病態が複雑化(=multi―morbidity)しており,標準的な食事制限がむしろ生命予後に悪影響を及ぼす可能性が指摘されている.とくにサルコペニア・フレイルを合併した場合は,推算GFRの年間低下速度や蛋白尿の程度を評価したうえ,末期腎不全の進行リスクが低い患者群はたんぱく質摂取量の緩和を検討する.高カリウム血症についても,一律にカリウム摂取を制限せず,カリウムを上昇させる食事以外の要因を確認する必要がある.カリウムを多く含む野菜や果物はアルカリ食のため,腎保護的に作用する可能性がある.さらに,水溶性ミネラルや食物繊維を豊富に含む.透析患者においても,食事摂取量が全体的に少ないため,カリウム摂取制限や減塩は一律に指導せず,体重の変化,筋力,身体機能などの全体像(phenotype)を把握し,個別に対応することが求められる.
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