Japanese
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特集 腎臓とエイジング/アンチエイジング
各論
アンチエイジング
CKDにおける食事療法とアンチエイジング―たんぱく質およびリンを中心に
Diet therapy and anti-aging in CKD:focus on intake of protein and phosphorus
細島 康宏
1
,
蒲澤 秀門
1
,
田中 舞
1
HOSOJIMA Michihiro
1
,
KABASAWA Hideyuki
1
,
TANAKA Mai
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科腎研究センター病態栄養学講座
キーワード:
食事療法
,
アンチエイジング
,
たんぱく質制限
,
植物性たんぱく質
,
リン
Keyword:
食事療法
,
アンチエイジング
,
たんぱく質制限
,
植物性たんぱく質
,
リン
pp.845-849
発行日 2025年6月25日
Published Date 2025/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001934
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はじめに
慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の食事療法としては,日本腎臓学会を中心にさまざまなガイドやガイドラインが示されているが,その主な目的は腎機能低下の抑制と末期腎不全のリスク低減であり,少なくともアンチエイジングを対象としたものではない。一方で,腎機能の低下は,高血圧,インスリン抵抗性,脂質や尿酸代謝異常をはじめ,リン・カルシウム・骨代謝異常(CKD-mineral and bone disorder:CKD-MBD)や尿毒素の蓄積などから老化に関連するとも考えられていて,CKDにおける食事療法によるそれらの因子への介入がアンチエイジングになりうるとも考察できる。しかし,この問題には非常に多くの事柄が関連していて,その全体像は単純なものではない。特にたんぱく質は,糸球体濾過量に与える影響や尿毒素の産生にも関連して摂取制限が推奨されてきたが,近年における患者の高齢化に伴う低栄養やサルコペニア・フレイルの問題から,その制限を緩和する考え方も示されている。また,たんぱく質の「質」に関する研究が増加してきており,アンチエイジングにも関連して,植物性たんぱく質の有用性を示す報告も蓄積されてきている。さらに,リンにおいてはその摂取量が,老化に関連すると考えられているKlothoの機能への影響から,アンチエイジングにつながる可能性も示唆されている。そこで本稿においては,CKDにおける食事療法とアンチエイジングの関係について,たんぱく質およびリンを中心に概説をしてみたい。

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