特集 腎性貧血治療のこれまでと,その新しい展開
2.腎性貧血の発症機序
宮崎 真理子
1
,
宮内 健一郎
1,2
,
佐藤 浩司
1,3
,
鈴木 教郎
4
1東北大学大学院医学系研究科腎・高血圧・内分泌学分野
2石巻赤十字病院腎臓内科
3仙台市立病院内科
4東北大学大学院医学系研究科酸素医学分野
キーワード:
腎性貧血
,
エリスロポエチン産生細胞
,
線維芽細胞
,
低酸素誘導性因子
,
線維化
Keyword:
腎性貧血
,
エリスロポエチン産生細胞
,
線維芽細胞
,
低酸素誘導性因子
,
線維化
pp.13-18
発行日 2021年1月10日
Published Date 2021/1/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000001584
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腎障害が主因となった貧血を腎性貧血と定義する.本稿では腎障害時のエリスロポエチン(EPO)産生(REP)細胞の機能を中心に解説する.REP細胞は腎の間質に存在しており,低酸素誘導性因子(HIF)がEPO遺伝子の転写を制御している.REP細胞は炎症性サイトカインなどにさらされると,EPO産生能をもたない筋線維芽細胞へと形質変換をきたす.その結果,腎の間質は線維化が進み,EPO産生は不十分となり,貧血が出現する.貧血により酸素欠乏に陥った細胞は障害されるとともに,残存するREP細胞のさらなる形質変換をもたらし,腎性貧血,尿毒症物質の蓄積の悪循環が起こる.以上,EPO産生の低下と腎障害進展の機序の研究は進歩が加速している.
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