特集 腎性貧血治療のこれまでと,その新しい展開
3.低酸素と低酸素誘導因子(HIF)によるエリスロポエチンの産生調節と腎性貧血
安倍 寛子
1
,
田中 哲洋
1
1東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科
キーワード:
低酸素
,
エリスロポエチン
,
腎性貧血
,
低酸素誘導因子(HIF)
,
プロリン水酸化酵素(PHD)
Keyword:
低酸素
,
エリスロポエチン
,
腎性貧血
,
低酸素誘導因子(HIF)
,
プロリン水酸化酵素(PHD)
pp.19-24
発行日 2021年1月10日
Published Date 2021/1/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000001585
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腎性貧血の主要な原因はエリスロポエチン(EPO)の相対的な産生低下である.低酸素誘導因子(HIF)は細胞の低酸素応答を担う主要な転写因子であり,プロリン水酸化酵素(PHD)により酸素依存性に制御されている.EPOは低酸素によりHIF―2α依存的に尿細管間質の線維芽細胞(REP細胞)から産生される.CKDではREP細胞が筋線維芽細胞に形質転換しEPO産生能を喪失しているが,HIF―PH阻害薬により形質転換した線維芽細胞からもEPO産生が誘導される.HIF―PH阻害薬によるHIFの活性化は内因性EPOや鉄動態に関与する因子などの発現を促進し貧血改善に寄与することが期待される.
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