特集 腎性貧血治療のこれまでと,その新しい展開
1.腎性貧血治療の歴史
鈴木 正司
1
1信楽園病院腎センター
キーワード:
酸素生物学
,
頸動脈小体
,
低酸素誘導因子
,
プロリン水酸化酵素阻害薬
Keyword:
酸素生物学
,
頸動脈小体
,
低酸素誘導因子
,
プロリン水酸化酵素阻害薬
pp.7-12
発行日 2021年1月10日
Published Date 2021/1/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000001583
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腎性貧血の治療の歴史は「酸素生物学」の発展と共にある.すなわち太古の地球の大気に酸素が出現し,その後に登場した好気的多細胞生物群では,予測できない低酸素環境への適応機序が必須なものとなった.急性の低酸素環境に対しては,酸素感知器官を介して呼吸を促進させる必要があり,それは頸動脈小体(carotid body)として発見された.一方で緩徐な低酸素環境に対しては,赤血球増殖因子(erythropoietin;EPO)を中心とした造血や血管増殖の機序を作動させ,臓器・組織への酸素供給を高める機序,すなわち低酸素応答の制御システムを生み出した.
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