〔研究報告〕
維持血液透析患者におけるシナカルセトからエボカルセトへの変更後の有用性の検討
志内 敏郎
1
,
村上 真也
1
,
川原 和彦
2
1川島病院薬剤部
2鴨島川島クリニック
キーワード:
二次性副甲状腺機能亢進症
,
シナカルセト
,
エボカルセト
,
バイオアベイラビリティ
,
力価比較
Keyword:
二次性副甲状腺機能亢進症
,
シナカルセト
,
エボカルセト
,
バイオアベイラビリティ
,
力価比較
pp.95-100
発行日 2020年1月10日
Published Date 2020/1/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000001168
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カルシウム(calcium;Ca)受容体作動薬として,シナカルセト(cinacalcet;Cin)とエテルカルセチドに次ぐ3 剤目のエボカルセト(evocalcet;Evo)が2018 年5 月に市販された.2008 年にCin が市販されてから二次性副甲状腺機能亢進症(secondary hyperparathyroidism;2HPT) の治療は画期的に変化をした.つまり,Cin は強い副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone;PTH)低下作用があり,2009 年以降は,副甲状腺摘出術(parathyroidectomy;PTx)の件数が著しく低下した.しかし,Cin は用量依存性に悪心,嘔吐,腹部不快感等の消化器症状が出現する傾向があり,必要な投与量を内服ができないケースがあった.2HPT では,軽症のうちにリン(phosphorus;P),Ca,PTH をしっかりと管理し,重症化を防ぐ必要がある.しかし,Cin は消化器症状や低Ca 血症への懸念から2HPT の軽症例には使用しづらく,活性型ビタミンD(vitamin D;VD)で治療を開始し,治療困難な重症例に使う薬剤であった.また,Cin はチトクローム(cytochrome;CYP)P450 2D6 を強く阻害するため,薬物相互作用に関しても注意が必要であった.
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