透析患者の薬,どう使いわける?
カルシウム受容体作動薬(カルシミメティクス)-シナカルセト,エテルカルセチド,エボカルセト,ウパシカルセト
横山 啓太郎
1
1東京慈恵会医科大学大学院健康科学
キーワード:
二次性副甲状腺機能亢進症
,
カルシウム受容体作動薬
,
エテルカルセチド
,
エボカルセト
,
ウパシカルセト
Keyword:
二次性副甲状腺機能亢進症
,
カルシウム受容体作動薬
,
エテルカルセチド
,
エボカルセト
,
ウパシカルセト
pp.1123-1129
発行日 2022年7月10日
Published Date 2022/7/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000002250
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CKDにおける骨ミネラル代謝の異常は,以前は腎性骨異栄養症(renal osteodystrophy;ROD)に主眼をおいて評価され管理されていたが,CKDにおける骨ミネラル代謝の異常は,骨の病変を生ずるだけでなく,長期的には血管を含む全身の石灰化を介して,生命予後にも影響を及ぼすことが明らかになってきた.その結果,新たに全身性疾患として「慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常(CKD-mineral and bone disorder;CKD-MBD)」という概念が提唱された.そのなかで血管石灰化と生命予後には血清P値および血清Ca値の上昇と過剰なCa負荷が悪影響を与えることが証明され,二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)の抑制のために用いられる活性型ビタミンDの使用が問題視された.カルシウム受容体作動薬(カルシミメティクス)として最初に開発されたシナカルセト塩酸塩(シナカルセト)は,カルシウム受容体(CaSR)にアロステリック作動薬として作用することで副甲状腺ホルモン(PTH)分泌を抑制する.過剰なCa負荷を惹起せず,血清P値および血清Ca値を低下させるシナカルセトはPTHの低下作用のみならず,血管石灰化抑制あるいは生命予後改善をもたらす薬剤として期待されている.また血清線維芽細胞増殖因子(FGF)23値については,活性型ビタミンDは上昇させるがカルシミメティクスは低下させる.心不全病態と深く関わる血清FGF23値を下げるというカルシミメティクスの付随効果の臨床的意義は今後明らかにされるべきであろう.
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