特集 透析患者における電解質・酸塩基平衡異常―透析液を含めて
8.透析液のカルシウム濃度はどのように選択するか
濱野 直人
1
,
駒場 大峰
1
1東海大学医学部内科学系腎内分泌代謝内科
キーワード:
カルシウム
,
血管石灰化
,
副甲状腺ホルモン
,
骨回転
Keyword:
カルシウム
,
血管石灰化
,
副甲状腺ホルモン
,
骨回転
pp.185-190
発行日 2019年2月10日
Published Date 2019/2/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000799
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細胞外カルシウム(Ca)濃度は,腸管,骨,腎,副甲状腺が協調することにより,厳密にコントロールされている.しかし腎不全患者では,尿中Ca 排泄低下,活性型ビタミンD 産生低下などの影響でCa バランスが破綻しやすい状況となる.血液透析中は,拡散により透析液から血中へCa が流入する一方,限外濾過により血中のCa の一部は透析排液とともに除去される.近年,高Ca 透析液の使用がCa 負荷となり,血管石灰化の進展につながるという報告が増えている.一方,低Ca 透析液を使用すると副甲状腺ホルモン上昇とともに骨回転が亢進する可能性も示されている.透析液のCa 濃度を変えることで心血管イベントや生命予後に影響するかどうかについては明らかでなく,今後さらなる研究を要する.
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