特集 透析患者における電解質・酸塩基平衡異常―透析液を含めて
9.高リン血症のマネジメント
谷口 正智
1
1福岡腎臓内科クリニック
キーワード:
カルシウム
,
副甲状腺ホルモン(PTH)
,
リン制限
,
リン吸着薬
,
テナパノール
Keyword:
カルシウム
,
副甲状腺ホルモン(PTH)
,
リン制限
,
リン吸着薬
,
テナパノール
pp.191-197
発行日 2019年2月10日
Published Date 2019/2/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000800
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これまで透析患者における高リン(P)血症と生命予後の関連を示す論文は多く示されたが,血清P 値を低下させること自体が生命予後を改善させるかについて直接的に証明した研究はない.むしろ過度のP 低下療法は予後を増悪させる可能性も示されている.これらの意味するものは,高P 血症のマネジメントにおいて重要視すべきは栄養状態であり,十分な栄養を摂取したうえで高P 血症を是正することが適切であることを示唆している.したがって,透析患者における高P 血症に対する方策として,過度のP 制限を避けるとともに,透析における十分なP 除去を行い,そのうえでさまざまなP 吸着薬をその特徴を踏まえて投与することで,透析患者の予後を改善することが期待できると考えられる.また,患者個々の臨床背景,副甲状腺機能,骨代謝回転などを考慮して,P,カルシウム(Ca),副甲状腺ホルモン(PTH)を総合的にコントロールすることが今後大切になってくる.
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