特集 透析患者のがん対策
5.担がん透析患者の治療 (4)栄養と運動療法
加藤 明彦
1
1浜松医科大学医学部附属病院血液浄化療法部
キーワード:
食事摂取量の低下
,
全身炎症
,
経腸栄養
,
有酸素運動
,
レジスタンス運動
Keyword:
食事摂取量の低下
,
全身炎症
,
経腸栄養
,
有酸素運動
,
レジスタンス運動
pp.63-70
発行日 2018年1月10日
Published Date 2018/1/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000308
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がん患者の栄養障害の特徴は,食事摂取量の低下および全身炎症による体重減少と骨格筋蛋白の喪失である.とくに,透析患者はサルコペニア・フレイルの頻度が多いため,がん合併時には栄養障害のリスクが高くなる.栄養介入の目的は,食事摂取量を維持・改善して代謝異常を改善する,骨格筋量や身体活動度を維持する,がん治療が縮小または中断するリスクを減らす,患者の生活の質(quality of life;QOL)を維持する,などである.栄養療法は,総エネルギー消費量を健常人と同じ25~30 kcaL/kg/day として開始し,たんぱく質は1.0 g/kg/day 以上,可能であれば1.5 g/kg/day まで増やす.術前には,ガイドラインに沿って絶飲食期間は可能なかぎり短くする.放射線化学療法中で食事摂取量が不十分な場合は,経鼻経管栄養を開始する.さらにサルコペニア・フレイルの進行を予防するため,個別化したレジスタンス運動と有酸素運動を行う.進行がん患者もQOL を維持するため,定期的な栄養スクリーニングと栄養評価が必要である.
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