投稿論文 紹介
術語"麻酔"の初出と語義に関する最新の知見 堀内素堂の「幼幼精義」と杉田成卿の「済生三方」
松木 明知
1
1弘前大学 大学院医学研究科麻酔科学教室
キーワード:
医学書誌
,
麻酔
,
用語法
,
江戸期医学史
,
杉田成卿
,
堀内素堂
Keyword:
Anesthesia
,
Bibliography of Medicine
,
Terminology as Topic
pp.663-670
発行日 2020年6月10日
Published Date 2020/6/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2020278890
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
上杉藩の堀内素堂は「幼幼精義」(初輯)を1845年(弘化2)に出版した。その原書はJ.A.Saxeが蘭訳したC.W.Hufelandの小児疾患の著書(1798)であった。「幼幼精義」の第3巻の冒頭は阿片についての記述であるが、この中で堀内は"krampbedaarende en verdoovende middelen"を"鎮痙麻酔薬剤"と訳した。この"麻酔"には"鎮静・鎮痛"の意味が込められて全身麻酔の意味はないが、現在の知見では熟語"麻酔"の初出と考えられる。のちに杉田成卿は"麻酔"を援用して"全身麻酔"の意味を付加した。
Copyright© 2020 KOKUSEIDO CO., LTD. All Rights Reserved.