投稿論文 紹介
"麻酔をかける"という表現の由来
榎 泰二郎
1
,
蛯名 仁美
1神戸市立医療センター西市民病院 麻酔科
キーワード:
麻酔
,
用語法
,
書誌データベース
,
医学史(1601-現在)
,
文献研究
Keyword:
Anesthesia
,
Databases, Bibliographic
,
Terminology as Topic
,
Document Analysis
,
History, Modern 1601-
pp.322-327
発行日 2021年3月10日
Published Date 2021/3/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2021138954
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麻酔はなぜ"かける"と表現されるのか、その由来を探った。各種文書データベースを利用し、明治時代から昭和20年にかけて出版された文書から、"麻酔をかける"に関連する用例を34件収集した。そのうち"薬をかける"という形の、明らかに開放点滴法による吸入麻酔の描写と見られる用例が18件ともっとも多かった。一方、"術をかける"意味合いの用例も見られたが、その出現は前者より17年遅かった。麻酔と催眠術がともに"魔睡"と表記されていた時期はあるが、"催眠術をかける"が誤って麻酔に転用されたという説を支持する所見は得られなかった。"麻酔をかける"は吸入麻酔の描写に由来している可能性が高い。
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