発行日 2010年9月1日
Published Date 2010/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010320103
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70歳女。20歳時に肺結核と診断されたが、治療内容は不明であった。右胸痛を主訴とし、右前胸壁に圧痛を伴う皮下腫瘤を触知し、腫瘤は第7・第8肋骨弓の走行に一致していた。検査所見では膿瘍穿刺液で塗抹Gaffky 2号、Mycobacterium tuberculosisが培養、ポリメラーゼ連鎖反応ともに陽性であった。胸部CTで右前胸壁第7肋軟骨部に4×4cmで内部の造影効果が不均一な腫瘤性陰影を認め、MRIでは同部にT1強調像で軽度低信号、T2強調像で軽度高信号の腫瘤を認めた。膿瘍穿刺から結核性胸壁膿瘍と診断し、isoniazid、rifampicin、pyrazinamide、ethambutol hydrochlorideの4剤による抗結核薬の内服投与を開始した。しかし、その後胸壁膿瘍が自壊し、ドレーン留置して経過観察するも膿汁の排出が減少せず、根治的手術として膿瘍切除術を行い、病理所見で類上皮細胞肉芽腫と多核巨細胞を認め、結核性胸壁膿瘍と診断した。術後経過は良好で、術第9病日に退院となり、退院後は外来で抗結核薬治療を継続して6ヵ月間で終了した。術後40ヵ月の現在、無再発で生存中である。
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