特集 ペット咬創への初期治療と機能・整容の改善[3]-顔面の組織欠損を伴うイヌ咬創(2)口唇以外-
上下眼瞼の全層欠損を伴うイヌ咬創の1例
渡邊 英孝
1
,
上村 哲司
1佐賀大学医学部附属病院 形成外科
キーワード:
イヌ
,
眼外傷
,
外科的皮膚弁
,
咬傷と刺傷
,
人工皮膚
,
デブリードマン
,
眼瞼形成術
Keyword:
Bites and Stings
,
Surgical Flaps
,
Skin, Artificial
,
Eye Injuries
,
Dogs
,
Debridement
,
Blepharoplasty
pp.382-386
発行日 2021年4月10日
Published Date 2021/4/10
DOI https://doi.org/10.18916/J00398.2021212503
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57歳男性。イヌ咬創による右眼瞼欠損創を主訴とした。既往歴に脳梗塞、糖尿病およびアルコール中毒があった。飼い犬に咬まれ、その日に当科を受診した。右眼瞼は耳側~頬部に深く欠損があり、上下の眼瞼組織は全層で完全欠損していた。結膜とテノン囊は残存せず、強膜は赤道部後方まで露出していた。眼表面は乾燥し、角膜は混濁していた。創部を洗浄、デブリードマンした後、人工真皮を貼付し、3日後に手術を施行した。手術は上眼瞼は硬口蓋粘膜で後葉を再建し、下眼瞼は右耳介舟状窩から採取した耳介軟骨で後葉を再建した。上眼瞼の前葉はlateral orbital flapで再建し、下眼瞼の前葉はnasolabial flapで再建した。皮膚採取部は上下とも一次閉鎖した。術後、皮弁の生着は良好であった。再建した後葉組織も生着したが、眼表面は瘢痕性変化が進み、視力は光覚弁となった。術後4ヵ月、自宅火災で死亡した。
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