投稿論文 症例
手掌に生じたmobile encapsulated fat necrosisの1例
樫山 和也
1
,
西 建剛
,
口石 倫太朗
1長崎大学 形成外科
キーワード:
運動障害
,
熱傷
,
脂肪壊死
,
手外傷
,
鑑別診断
,
皮膚疾患-手部
,
中手
Keyword:
Burns
,
Fat Necrosis
,
Metacarpus
,
Hand Dermatoses
,
Hand Injuries
,
Movement Disorders
,
Diagnosis, Differential
pp.81-86
発行日 2021年1月10日
Published Date 2021/1/10
DOI https://doi.org/10.18916/J00398.2021131243
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症例は22歳女性で、手掌部分の皮下腫瘤と同部位への圧痛を主訴とした。左手部の熱傷治癒後に左手指の自動運動が不能となり、身体症状症の診断で手部のマッサージや他動による手指のリハビリテーションを行っていた。初診時には母指球部に軽度の圧痛を伴い、皮静脈に沿って移動する長径3mm程度の皮下腫瘤2個を触知した。摘出した腫瘤の病理組織学的所見では線維性の結合織に包まれた皮下腫瘤の内部に壊死した脂肪と軽度の炎症細胞の浸潤を認め、Mobile encapsulated fat necrosisと診断した。術後6ヵ月の経過観察で腫瘍の再発は認めず、腫瘍部分の疼痛は消失したが、身体症状症は改善しなかった。自験例では反復した皮下脂肪組織への圧力により周囲から遊離した脂肪組織塊が、血流の遮断によって脂肪壊死となり、経過とともに被膜形成されたと考えられた。
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