特集 形成外科「番外」症例集
虫様筋変性・壊死に手根管症候群を合併した1例
伊師 森葉
1
,
鳥谷部 荘八
1国立病院機構仙台医療センター 形成外科・手外科
キーワード:
滑膜炎
,
腱鞘炎
,
MRI
,
手根管症候群
,
術前評価
,
超音波診断
,
デブリードマン
,
筋切開術
,
虫様筋(手)
,
筋壊死
Keyword:
Tenosynovitis
,
Synovitis
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Ultrasonography
,
Myotomy
,
Debridement
,
Carpal Tunnel Syndrome
pp.1122-1126
発行日 2020年9月10日
Published Date 2020/9/10
DOI https://doi.org/10.18916/J00398.2021002349
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83歳男。右手の疼痛、しびれを主訴とした。2ヵ月前に右示指指尖部にウニの棘が刺さったエピソードがあり、右手掌全体の腫脹、手指運動時の疼痛と正中神経領域に一致した知覚鈍麻を認めた。エコー検査では右示指A1腱鞘付近の滑膜増生を、MRI検査では示指から小指の浅指および深指屈筋腱を取り囲む低信号の腫瘤を認め、経過や臨床所見より非結核性抗酸菌による右示指屈筋腱腱鞘滑膜炎とそれに伴う手根管症候群を疑い手術を行った。術中、変性・壊死した全虫様筋が屈筋腱を取り囲み癒着しており、全虫様筋を切除して全ての屈筋腱を剥離した。切除検体の病理診断は慢性滑膜炎で、抗酸菌は検出されず、術後は虫様筋切除に伴う手指の可動域制限を生じることなく神経障害は改善した。本症例は手指の化膿性屈筋腱腱鞘滑膜炎発症後に生じた虫様筋の変性・壊死によって手根管症候群を合併したと考えられた。
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