特集 形成外科「番外」症例集
橈側指神経脱臼の1例
飛田 美帆
1
,
佐野 和史
,
水野 博司
1順天堂大学 形成外科学講座
キーワード:
関節不安定症
,
手指関節
,
超音波診断
,
外科診断
,
橈骨神経障害
,
指神経(手)
Keyword:
Finger Joint
,
Joint Instability
,
Ultrasonography
,
Diagnostic Techniques, Surgical
,
Radial Neuropathy
pp.1127-1129
発行日 2020年9月10日
Published Date 2020/9/10
DOI https://doi.org/10.18916/J00398.2021002350
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13歳女。1ヵ月前より左環指近位指節間関節(PIP関節)掌側の小腫瘤と圧痛を自覚し、受診時には末梢橈側へ放散するTinel様徴候を認めた。関節可動域に制限はなく、PIP関節は他動運動で過伸展であったが、疼痛のため触診や超音波検査は困難であり、診断的治療として手術を行った。術中、腫瘤が存在すると想定された部位には、通常は側方に走行する橈側指神経が掌側へ偏移走行しており、橈側指神経はPIP関節屈曲時に掌側脱臼し、伸展時には基節骨骨頭に圧迫されながら整復された。本症例では日常的な手指の屈曲動作によりグレイソン靱帯のないPIP関節周辺で橈側指神経が掌側脱臼と還納を繰り返すことで炎症と疼痛が惹起されたと推測され、橈側指神経を側方へ整復した状態で側方皮下脂肪織を屈筋腱腱鞘に縫合しこれを制動した結果、術後6ヵ月時には圧痛とTinel様徴候は消失した。
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