発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2004248924
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65歳女.右中指の腫脹,疼痛と屈曲障害,右母指,中指のしびれを主訴とし,針穿刺を行ない,培養の結果,非定型抗酸菌が検出された.ツベルクリン反応は弱陽性で,Phalenテスト,Tinel徴候は陽性であった.画像所見,電気生理学的検査所見より手根管症候群を伴う非定型抗酸菌による屈筋腱滑膜炎と考え,滑膜切除術を施行した.手術所見で手根管内,更に横手根靱帯より末梢で中指屈筋腱に沿って茶褐色の滑膜の著明な増生を認め,これにより中指指神経は圧迫されていた.切除した滑膜の病理組織像では乾酪壊死を伴った類上皮肉芽腫を認めた.一般培養検査は陰性であったが,抗酸菌培養にてM.nonchromogenicumが検出された.リファンピシン内服,ROM訓練を行ない,術後9ヵ月現在,手指の腫脹,疼痛は消失し,中指のしびれは改善,炎症再発は認めていない.本例では5年間にわたり自宅で金魚を飼っており,これらの接触などにより感染が発生した可能性があると思われた
©Nankodo Co., Ltd., 2004