発行日 2013年3月1日
Published Date 2013/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2013191391
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37歳女。右示指橈側のしびれを主訴とした。右母指球の腫脹と圧痛を認め、同部位に示指橈側に放散するTinel様徴候があった。また、右示指橈側の感覚鈍麻と短母指外転筋の筋力低下を認めた。電気生理学的検査では、右手関節以遠の正中神経の遠位運動潜時が遅延していた。CTで第2中手骨と小菱形骨の掌側皮質に骨びらんと硬化像を認め、MRIで手根管内部橈側にT1強調像で低信号、T2強調像で高信号、造影効果のある腫瘤を認めた。軟部発生の腫瘍性病変による手根管症候群と診断し、手根管開放術、腫瘍切除術を施行した。腫瘍は横手根靱帯の遠位部から末梢に向かって存在し、被膜を有していた。示指橈側の指神経と母指の指神経の間で、掌側に膨隆していた。腫瘍を可及的に切除して手術を終了し、病理診断は軟骨腫であった。術中所見、画像所見で骨膜との連続性がなかったことと病理所見より、骨外性軟骨腫と診断した。術後3ヵ月で感覚障害は消失した。
©Nankodo Co., Ltd., 2013