発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006302222
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化膿性滑膜性腱鞘炎にて外科的治療を行った5例6指を対象に,術前にMRIを撮像し,MRI所見と術前の理学所見,手術所見について検討した.4例でKanavelの4主徴が全て認められた.炎症反応は手術直前で2例が陽性であった.理学的所見,血液生化学所見及びMRI所見から化膿性腱鞘炎を疑って抗生物質を投与したが症状は軽快せず,全例に開放ドレナージ或いは滑膜切除術を施行した.3例は発症後3日以内の急性期に手術を行い,残り2例は慢性の経過を辿っため発症後3,8週時に手術を行なった.手術所見は1例を除き全例で膿の排出或いは病的滑膜の増生がみられた.Loudonらの分類ではstage Iが1例,stage IIが3例,stage IVが1例であった.MRIで屈筋腱辺縁の不整を呈したのはstage IVであった.Kanavelの4主徴のうち腱鞘に沿った圧痛がなかった1例は,腱鞘内から膿の排出がなく浸出液のみで,stage Iとした.培養の結果,急性期に手術をしたうちの2例で黄色ブドウ球菌が認められた.培養結果が陰性であった2例は膿の排出があり,病理検査で好中球が浸潤しており化膿性腱鞘炎と診断した.以上から,MRI検査の化膿性腱鞘炎に対する感度,正確度は共に100%であった
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