特集 産婦人科医が担うべき産道裂傷の包括的ケア―女性のQOLを守るために
女性の健康やQOLにかかわる長期的視点
4.産道裂傷と便失禁
錦織 英知
1
H. Nishigori
1
1一般社団法人健英会えさか駅前にしごりおなかとおしりのクリニック(代表理事/院長)
pp.1103-1111
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003573
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産道裂傷,特に産科的肛門括約筋損傷(OASIS)は女性の便失禁の主要な原因であり,長期的にQOLに深刻な影響を及ぼす。分娩時の適切な会陰保護と裂傷修復は予防の要である一方,症状は数年後に顕在化する場合もあるため,正確な診断と定期的評価が重要である。治療としては保存的療法(食事・薬物療法,骨盤底筋訓練やバイオフィードバック療法),括約筋修復術,仙骨神経刺激療法(SNM)など多様な選択肢が存在する。女性のライフステージを見据え,予防から治療まで長期的かつ包括的に対応することが,健康とQOLの維持に不可欠である。

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